聞・読
「聞く」があって、言葉が生まれ、文字が伝来し「読む」がはじまりました。
「きく」は、語源として「き」は「くる」の強調です。なにかがやってくるような感じです。「聞く」と「効く」は同じで、なにかがやってくることの先端を意味します。現在の用法から考えると、伝える側からみるときに「効く」で、受ける側からみるときに「聞く」になります。
「聞く」は耳で音を感じ取ることですが、他にも目や手を使って「目利き」、口を使って「利き酒」、鼻を使って「聞香(もんこう)」など、私たちは昔から、五感を使って聞いています。
逆に、私たちは聞いた内容を理解するときは、五感に還元しながら、自分の体験をなぞって理解します。ですから、具体的な内容は比較的分かりやすく、抽象概念が中心となる哲学のような話は難解です。
「共感のため」の聞く・読むの基本姿勢
・(会話の基本「△〇▢」を確認します。)
・相手の立場で聞きます。(これができないと他者理解は深まりません)
・批判(自分の意見・判断・予断)を加えずに聞きます。
一般的な聞き方・読み方
読むときの意識
「読み方」が向上すると「聞き方」も向上します。
・文章(話)全体では、「テーマ(主題:何についての話か)」と「結論(結局何を言いたのか)」を意識します。
・節や段落では、文章全体と同様に、その節や段落での「テーマ」と「結論」を意識し、もっとも重要な1文を見つけます。
・文章単位では、主語と述語に気を付ける。日常的に使われる文章は複文(2つ以上の主語と述語が入る文章)が多いので、1つの文の中で主となる主語と述語を意識します。
・文章と文章、段落と段落のつながりは接続詞(順節:だから・・・、逆接:しかし・・・など)のはたらきに気を付けます。とくに段落冒頭の接続詞に気を付けることで、文章全体の構成が理解しやすくなります。
読解力を高める
・少し速めに読む。→「接続詞」を手掛かりに、文章の展開を推測しながら読む。
・こそあど言葉「これ・それ・あれ・どれ」、「この・・・」「ここ・・・」「この時・・・」「あの場所・・・」などの「指示代名詞」の内容を正確に理解する練習をする。
・1000~2000文字の文章(新聞の社説記事など)を100文字程度に要約してみる。
批判力を高める
批判する姿勢は、一見すると共感のための基本姿勢に逆行するように見えます。ここでいう「批判力」は「客観的」に読む・聞く姿勢で、筆者・話者の意見(提示している価値そのもの)を直接批判することではなく、真偽(本当かウソか)を意識して読む・聞く姿勢です。
・論理矛盾(自己矛盾)がないか意識する。(長い話では、理路が混乱していたり、矛盾していたりすることがあります)
・論拠の確かさを意識する。(引用もとの確かさ、例えばお料理専門家と医者では健康についての着眼点が異なります。経験値なのか、研究結果なのか。経験値だから間違い、研究結果だから正しいともかぎりません。)
・数字の妥当性を意識する。(統計数値自体は正確であっても、話の都合に合わせて加工された数値が用いられます。グラフなどではその効果がさらに強くなります。全体と部分の関係を想像しながら数字を見る習慣をつけると良いです)
・自分との関係の深さを意識する。(例えば、アラスカに住む人たちの生活習慣に関する話は、間接的、寓話的に参考になることは必ずありますが、自分自身に関係するような話題かどうかは別の話です。よく起きる思い違いは、欧州ではうまくいっているから、日本でもうまくいくはずという理解をすることです。)